みなさんへNo54 −平日の朝お弁当を作っています−

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新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

最近、美味しいご飯を食べたい、美味しいお酒を飲みたいと、以前にもまして思うようになってきました。
今の僕にとっての美味しいご飯やお酒とは、それなりのお金を払って、シックなお店で食べたり飲んだりする「よそ行き」の味ではなく、ゆっくりリラックスして食べたり飲んだりする、おうちごはんと普通のお酒です。
家で食べるおうちごはん、おかずを1品、2品、お汁ものが1品、それらを少しずつ、その日のお酒と一緒に1時間くらいの時間をかけてゆっくりといただく、それが僕にとっての最高に贅沢で心安らぐ美味しい食事の時間。
勿論、先にお風呂に入って、いつでも寝られる状態にしておくことがとても大切なことは言うまでもありません。
お昼に食べるお弁当についても、基本的には同じように考えています。限られた時間や環境の中で、いかに美味しいと思って食べられるかということを。

今大学2年生の次男が高校に入学した5年前の4月から、僕はそれまでより1時間早い朝5時半に起きるようになりました。
当時高校に入学したての次男が、部活の朝練で朝6時前に家を出るので、それより前に起きていないと親としての示しがつかないと思ったからです。そうです、ささやかなプライドのようなもの。
2年前の7月、3年生になった彼の夏の大会が終わり、ほとんど休まず頑張った朝練も終止符を打ったのですが、僕の5時半起床は、終止符を打つことなくそのまま続いています。
家を出る時間は7時40分から6時58分に変わり、8時前には会社に到着するようになりました。毎朝の電車も、8時過ぎの電車に比べればとっても快適で、元に戻す理由が見当たらなかったからです。
そして、長男が就職し、僕と同じく朝7時頃家を出るようになって以降、僕と長男のお弁当を僕がつくるようになりました。それまで僕の朝食やお弁当を作ってくれていた家人は、次男がゴソゴソ動き出す8時ごろに合わせて起床するように変更。要するに作業分担です。

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5時半過ぎのまだ誰もいない居間の電気をつけ、時計代わりにテレビをつけます。しばらくは天気予報やニュースをぼーと眺めて、5時50分くらいから冷蔵庫を開けて「さてさて…」とお弁当作りが始まります。スマホでラジオを聴きながら。
冷蔵庫から卵を2つ取り出して、一日おきにたまご焼きと茹でたまごのどちらかを作ります(作ると言えるのかはさておき)。
たまご焼きは、刻み葱を入れたり海苔を入れたりとバリエーションを増やすようにしていて、茹でたまごは、黄身を上手に半熟にするのがなかなかむつかしくて、茹で時間を必死に測ります。(昨日も失敗しました(笑))
その他のおかずも、たまご焼きの時は同じフライパンで焼くおかずにし、茹でたまごの時は同じ鍋でボイルできるおかずにします。洗い物を少なくするためにね。
冷食か昨晩のおかずの残りを使うことが多くなるメインのおかずは、朝の短い時間では作れない、唐揚げやハンバーグをちょっとアレンジしたりしなかったり。
野菜のおかずは、冷食のブロッコリーやインゲン、ほうれん草を粉末のお出汁とすり胡麻で和えたものや、カットされているミックスベジタブルに塩胡椒して、カレーパウダーや胡麻油などで手早く炒めたものなどを彩に。
ありがたいことに長男は、僕がつくるお弁当を文句ひとつ言わず食べてくれています。
だからこそ、手軽に作ることができるおかずがメインのお弁当だけど、少しでも美味しく食べてもらえるように、「ちょっとした工夫」を加えられたらなぁと、作りながらいつも考えているんですけどね…

美味しいごはんの定義って何でしょう?その食事をどれだけ楽しんで食べられたかということも、重要な要素ですよね。
時間に限りがある昼食と、ゆっくり食べられる夕食(晩食)とでは楽しみ方が違って当然。だから、それぞれの食事に対する向き合い方も違って当然。
僕にとっての夕食は、上質な睡眠をとるという意味でもとても重要で、入浴&夕食で完全に寛ぎ、布団に入るまでのちょっとの時間は、ぐっすり眠るためだけに使いたいんです。
お弁当は、午後からの仕事に向けてのエネルギーチャージという意味合いも含めて、短い時間に美味しく、午後からも頑張ろうと思いながら食べられることが大切。お弁当箱を開けたときや、箸で白いごはんを口に入れたときにどんな気分になるか…忙しく食べなければならなくても、お昼からの仕事のことで頭がいっぱいであっても、「あー美味しかった」って思いたいし、思ってもらいたい…「ちょっとした工夫」とは、こんな気持ちになったり、なってもらうためのささやかなひと手間です。
お弁当のことがいつも頭の片隅にある僕だから、大好きな本屋さんにふらりと入っても、料理雑誌のコーナーや料理本のコーナーに足が向いてしまいます。
時間をかけずに美味しく調理できるアイディアが書いてある雑誌、缶詰を使った簡単レシピ本などを手にとってはパラパラ捲ったり。
仕事帰りのそんな時間に、梅田の蔦屋書店で出会った薄っぺらい雑誌が、この普通の料理雑誌とは一味も二味も違う「DEAN&DELUCA MAGAZINE」です。

みんな忙しいから、食事を作る時間も摂る時間も蔑ろになりがち。それは仕方がないことだと思うんです。でも僕は、まずは自己満足でもいいから、家族においしいと思ってもらえるお弁当を作りたいし、そんな時間を持つことを前提に日々の24時間を作りたいと思っています。食事とは、前向きに生活するための基本中の基本で、絶対に欠かすことのできないお腹も心も満たす日常生活の大切な一部分だから。
このDEAN&DELUCA MAGAZINEには、そのヒントがたくさんあるように思いました。

DEAN&DELUCA MAGAZINE ISSUE 02
松浦弥太郎:編集 ㈱ウェルカム:発行