みなさんへ No.36 −続:植物のひたむきさに癒される− 2019.06.28

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> 僕には、月に1回程度訪れる場所がいくつかある。
> それは神社だったり古道具屋さんだったり、古本屋さんだっ
> たりするんだけど、そんな中に、このお店は何屋さんと呼べ
> ばいいのか考えてしまうお気に入りのお店がある。
> そのお店では美味しいコーヒーが飲める。フレンチトースト
> も絶品。季節野菜のキーマカレーも美味しいと評判。(まだ
> 食べたことがないんだけど)
> だから、カフェと言っても間違いではない。
> そのお店には、オーナーさん厳選の本が並んでいる。エッセ
> イや小説、絵本や写真集も。見本本が用意されているので、
> 自分の席でコーヒーを飲みながら、パラパラページをめくる
> ことでき、気に入った本はもちろん買って帰ることができる。
> だから本屋さんと言っても間違いではない。
> そのお店には、ギャラリースペースがある。お店が営業して
> いるときには必ず、絵や写真の個展が行われていて、運が良
> ければ在廊している作家さんから直接作品の説明を受けられ
> たりする。だから、ギャラリーと言っても間違いではない。
> 要するに、展示されている作品を見たり、本をパラパラめく
> ったり、ボーっとしたり、お店の人といろんなお話をしたり
> しながらコーヒーを飲むことができる、そんなお店なのです。
> 「iTohen(いとへん)」これがそのお店の名前。
> お店のホームページを見ると、「ギャラリーと本とコーヒー
> のお店」となっている。正にその通り。
> 梅田の中心地から北に向いて20分ほど歩くと淀川にぶつか
> る。その淀川にほど近い本庄西という町にiTohenはあ
> る。
> 本庄西という町、梅田という大都会からたった20分歩くだけ
> で、これほどまでに流れている時間がゆっくりと感じられる
> のか!とびっくりするくらいの静かな町で、昔ながらの民家
> も残っていて、祝日には国旗を掲げるお家があったりする、
> ちょっとホッとする町。そんな町にiTohenはある。
> さらに、iTohenは、土日+1日、金土日とか土日月とか
> しか営業していなくて、しかも、このパターンが月の半ばに
> 3回あるだけ。
> ちなみに6月は、8日(土)〜10日(月)、15日(土)〜17日(月)、
> 22日(土)〜24日(月)の9日間だけオープンしていた。
>
> iTohenを初めて訪れたのは去年の4月。以来、月に1
> 回程度、iTohenに足を運んでは、作家さんの絵を眺め
> たり、コーヒーを飲んだり、ボーっとしたりしている。
> そんな居心地のよいiTohenが、なぜ普通のお店のよう
> な営業形態ではないのか?
> それは、オーナーさんの副業だから。オーナーさんの本業は
> グラフィックデザイン。デザイナーさんなのです。
> デザイナーさんが若手アーティストの作品の発表の場として、
> 15年ほど前にiTohenを作ったんです。オーナーさん曰
> く「本業で儲けたお金が、iTohenで消える」と。
> 尊い活動だと、なかなかできることじゃないなって思わずに
> はいられない。
>
> 先月の「みなさんへ」で、僕は植物のひたむきさに癒されて
> いると書いた。
> 小さな花をつける野草にも注目していると。
> この6月にiTohenで行われた個展は、辻元小百合さん
> という画家さんが描かれた植物の絵の個展だった。僕は、6月
> 16日にお店にお邪魔したんだけど、正直に言うと、辻元さん
> の絵を見に行ったのではなく、ただiTohenに行きたく
> てお邪魔した。
> そして僕は出会ってしまった。シロツメクサやオオイヌノフ
> グリやレンゲソウの絵に。
> 僕は初め、写真を加工して作られたものなのかと思ったくら
> いの圧倒的なデッサン力と色遣いに引き込まれ、見入ってし
> まった。そして、なぜか切なくなった。
> 気が付けば2時間、僕は作品をずっと見ていた。お店を出た
> 後も、絵のことが頭から離れなかった。写真を撮らせてもら
> った絵を何度も何度も見た。そして、これだ!という結論に
> 達して、22日の土曜日、会社で仕事をした後再度iTohe
> nへお邪魔し、辻元さんの絵を見ながら、うんうんとうなず
> いた。
> 辻元さんの絵にこれだけ引き込まれるのは、光が当たってい
> ない影の部分の描写もとても正確で素晴らしいから、日の光
> が当たっている部分の、例えばシロツメクサの生き生きとし
> た生命力が、さらに引き立ち感動するんだと。
> 僕を切ない気持ちにさせたのは、日の光が当たっていない影
> の部分の植物の健気さと、その健気さを1枚1枚の葉っぱで
> 表現している辻元さんの描く姿を絵を見ながら無意識に想像
> していたからだろ。
>
> そして、雑草つながりはさらに続き、ずっと探していたこの
> 本、「柳宗民の雑草ノオト」を、16日のitohenを後に
> した直後に大好きな本屋さんのSNSで発見し、取置きを依
> 頼し、23日に受取りに行ってきた。植物の絵がとても美しい、
> ずっと探していた本なのです。
> その本屋さんは「1003」という名前の本屋さん。神戸の
> 元町にある。
> この本はすでに文庫化されているんだけど、単行本で欲しい
> から古書で探していた。
> 大好きな本屋さんで見つけられたことは本当に嬉しいことだ。
> 1003で本を眺める時間も、宝探しをしてる感じでワクワ
> クする至福のひととき。
>
> 好きなことに対して、真摯に一生懸命好きでいる努力をして
> いると、引き寄せられるように、関連する嬉しい出来事に出
> 会うことがある。感謝しなきゃと思う。
> そして、表に出ない部分のいい仕事が、表の光が当たってい
> る部分の仕事を活かすのだという大切なことを再確認できた
> ことも嬉しい副産物。
>
> 柳宗民の雑草ノオト
> 柳宗民:著 三品隆司:画 毎日新聞出版
>
> このメールは、係長さん以下の役職者の方にお送りしていま
> す。