みなさんへ Ｎｏ．３３ −イチローの価値と100円のコーラを1000円で売る方法− 2019.04.02

> あれは確か、１９９７年だったと思う。
> 僕は、大阪ドーム（現在の京セラドーム大阪）で近鉄バファ
> ローズ対オリックスブルーウェーブの試合を観戦した。もち
> ろん、イチローを応援するためだ。
> 我々と同じく震災を経験し、震災後の神戸にずっと寄り添い
> 続けてくれているイチローは、神戸市民にとって絶対的なヒ
> ーローであり続けている。
> 震災の年に、がんばろうKOBEを掲げリーグ優勝、そして翌
> 年の１９９６年には、グリーンスタジアム神戸においてイチ
> ローのサヨナラヒットでリーグ２連覇。
> そしてその年は、日本シリーズでジャイアンツ下し、日本一
> にも輝いている。
> 当時のオリックスに、どれだけ勇気づけられたことか。その
> 中心にいたのがまさしくイチローだった。
>
> 高校時代、投手として甲子園にも出場しているイチローは、
> 神戸を本拠地としていたオリックスブルーウェーブ(現オリ
> ックスバファローズ)に、１９９２年に打者としてドラフト
> ４位で入団した。
> 監督が仰木彬監督に変わった１９９４年、レギュラーに定着
> し、いきなり当時の日本記録である年間２１０本を記録し首
> 位打者、さらに打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率とい
> う打撃部門５冠王に輝き、シーズン２００安打と首位打者は
> 日本球界最後の年となる２０００年まで７年間連続で記録し
> ている。
> その後のメジャーでのイチローの活躍は、語るまでもない。
> 日米通算４，３６７(メジャーでの安打数３，０８９安打)安
> 打を打ったイチロー、たぶんこの記録、さらには、日本での
> ７年連続首位打者という記録は、今後破られることをイメー
> ジできないような、形容する言葉がないくらいすごい記録だ
> と思う。
> そんなイチローが、３月２１日の日本でのオークランド戦を
> 最後にユニフォームを脱いだ。
> 試合中に、試合終了後のイチローの引退会見についてネット
> で流れたため、球場が異様な雰囲気となったと翌日のニュー
> スや新聞のトップで報道していた。
> 僕はもう寝る準備をしていて、確かにヤフーニュースが飛び
> 込んできたけど、慢性的な寝不足を解消する方を優先して、
> 居間に戻って中継を見ることをしなかったのだけど。
>
> イチローは４５歳で僕より７つ年下。髪の毛は真っ白になっ
> たけど、ユニフォーム姿は、メジャーのユニフォームに袖を
> 通した２００１年と全く変わっていないように見える。
> ２７歳だったイチローと、４５歳のイチローは、見た目だけ
> ではなく、走力も肩の力も変わっていない。だから１塁まで
> ４秒で走りぬけ、ライトの守備位置から三塁までレーザービ
> ームバリのストライクを投げられる。そんな体を長年作り続
> けられる彼こそ唯一無二の存在だと思うのだ。自分を律しな
> がらの３０年近くにわたる継続的努力…すごすぎる。
>
> 阪神タイガースで現役を終えた、メジャーに渡った唯一の日
> 本人捕手である、元チームメイトの城島健司がこんなことを
> 言っている。
> 「イチローさんがいると時計がいらない」
> ホームゲームの日には毎日一番乗りで必ず同じ時間に球場に
> 入り、同じ練習を同じ順番で毎日継続する。奥さんが握って
> くれたおにぎりを２つ食べながら。
> だからイチローが何をしているかで、チームメイトなら今の
> 時間が分かると。
> それくらい試合に対する準備を、手抜きせずコツコツ毎日行
> っていたということだ。
> そんな、イチローの周辺から聞こえてくる話を聞けば聞くほ
> ど、センスだけで野球をやっていたわけではないということ
> が分かる。自分ではどうすることもできない動態視力の衰え
> さえなければ、本当に５０歳までできたのではないかと思っ
> てしまう。
>
> ところで、イチローが一番高給取りだったのは２００９年ご
> ろで、約１８億円だそうです。そして２０１９年のメジャー
> リーガーの最高年俸は約４３億円ということらしく、じゃあ、
> メジャーリーグの球団として選手に払っている年俸総額トッ
> プのチームはどこかというと、ボストンレッドソックスで、
> 約２５０億円だとか…想像を絶する額ですね。
>
> では、単純な質問です。これだけの年俸を、球団はなぜ支払
> うことができるのでしょうか？
> 先日、昇格者の方に数字のお話をさせていただいたのですが、
> 同じようなお話をしました。
> 答えは、例えばイチローに１８億円給料を払っても、球団は
> 損をしないと考えているから。
> シアトルマリナーズは、イチローが普通に活躍してくれれば
> イチロー１人で４０億円くらい稼いでくれると考えているか
> らです。
> ファンがチケットを買って試合を見に来てくれて、ビールや
> ホットドッグを飲み食いしてくれて、５１番のレプリカユニ
> フォームなどのグッズを買ってくれて、さらにはスポーツ専
> 門チャンネルや日本のＮＨＫが、放映権を高く買ってくれて…
> そうやって計算していくと、全然損をしないと踏んでいるか
> らなんです。
> 要するに当時のイチローは、１８億以上の価値を全世界に対
> して供給できていた超スーパースター選手だということなん
> です。
> 額は全然違いますが、アトラスも我々にお給料を払ってくれ
> ています。同じことなんですね。
> 我々に払う給料以上に、我々の価値によって会社に収入があ
> ると考えているから、会社は我々に給料を払ってくれるんで
> す。
> 今回紹介するこの興味深いタイトルの本には、新しい価値の
> 創造、要するにイノベーションについて、分かりやすく書い
> てありますので、是非機会があれば、手に取ってみてくださ
> い。
>
> ２２年前、大阪ドームでイチローコールができたこと、本当
> によかったなぁって今つくづく思っています。イチロー選手、
> お疲れ様でした。本当にありがとう！
>
> １００円のコーラを１０００円で売る方法①～③
> 永井孝尚：著　中経出版(漫画版もあります)
>
> このメールは、係長さん以下の役職者の方にお送りしていま
> す。