みなさんへ No.27 −命について考える− 2018.09.30

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> ちょっと重たい話をします。でも、全然ネガティブな話じゃ
> なありません。
> 僕には、もう何年も前から毎日想像している事があります。
> それはいつかやってくるであろう、命の「限り」を告げられ
> る日のことです。
> 「長くて後〇か月です」と告げられる日がいつやってこよう
> と、うろたえて取り乱すことなく、冷静に受け止められるよ
> うにならなければ、と。
>
> 僕は、「何も役に立たない」という状態で長く生きたいとは
> 思いません。
> 少なくとも、両親をきちんと見送り、子供たちが巣立ってい
> く姿を見送るまでは生きなければならないと思っていますが、
> それ以上生に執着しないように、と思って生きています。
> この思いは、今後変わるかもしれないけど、命の「限り」を
> 宣言されたら、その期間以上に生きることを目標にするので
> はなく、1日でも長く今の生活を続けられることを目標にし、
> それができなくなってしまったら、自然に命が尽きるのを待
> とうと思っています。
>
> いつの日かやってくる来るであろう『命の「限り」を面と向
> かって告げられる日』のために、僕はこつこつシミュレーシ
> ョンをしているんです。
> ということで、死に向き合わない日はありません。
> もう52歳だし、ある意味普通のことだと思います。
>
> 死について真剣に考えるようになったのは、本をたくさん読
> むようになってからです。最初の「みなさんへ」でお話しし
> ましたが、僕は、この会社で今より高い責任を任せてもらえ
> る人材になるという努力を重ねなければ、家族を養っていけ
> ないという状況が続いているので、誰にも負けない専門性を
> 身に着けることと、幅広い常識性を身に着ける努力をしてき
> ました。それが国家資格の取得と読書でした。
> その読書が、「生きることとは何か」的な哲学的なテーマに
> まで導いてくれたのですが、死について、無理に考えなきゃ
> と思っていた僕に、「普通のこと」と教えてくれたのが、2
> 年前のお正月明けのこの新聞の全面広告でした。
> 樹木希林さんがオフィーリアに扮した宝島社の広告です。
> 「死ぬときぐらい好きにさせてよ」
> 大きな字でそう書いてありました。
> オフィーリアとは、シェークスピアの戯曲「ハムレット」に
> 登場するハムレットの恋人。
> 父親の復讐を果たす為に狂気に陥ったハムレットを、オフィ
> ーリアはとても心配するのですが、彼は彼女に、「修道院
> 行け」と言って彼女を酷く傷つけます。そして悲しむオフィ
> ーリアに追い打ちをかけるように、父親であるボローニアス
> がハムレットに殺されたことを知ってしまいます。狂ってし
> まった恋人と最愛の父親の死により、オフィーリアまで正気
> を失い、ある日彼女はうわ言のような歌をうたいながら柳の
> 木がある小川のほとりへ行き、枝に花輪を吊るそうと手を伸
> ばし枝に登ろうとするのですが、枝は無惨にも根元から折れ、
> 彼女は花輪もろとも川へと落ち、人魚のように川を漂ってそ
> のまま死んでしまう、という悲しいお話。
> でも、オフィーリアは悲しみの中で死んでいったのではあり
> ません。
> 歌をうたい、笑みを浮かべてこの写真のオフィーリアに扮し
> た樹木さんのように、川に身をゆだねて死んでいったのです。
> 僕は2年前の1月5日、この広告を見てそして読んで、「そ
> うなんやなぁ」と思ったんです。
>
> そんな樹木さんが9月15日に亡くなられました。「好きに
> させてもらったわ」とおっしゃいながら亡くなられたよう
> に思います。見事な最期だったと。
> そして、さくらももこさんも8月27日に亡くなられました。
> 53歳。僕よりたった1つ上です。
> さくらももこさんの絵や文章が表現する世界は、僕の子供の
> ころの日常とぴったり重なります。こんなふうに僕も表現で
> きたらいいなぁと「まるこ」もエッセイも沢山読みました。
> さくらさんも、きっとできるだけ長く現役でいたいというこ
> とを前提に病と闘っておられたのだろうと思います。本当に
> 残念でしかありません。
>
> 死について考えるということは、冒頭でも書きましたが、全
> くネガティブなことではありません。
> その日が来るまで、いかに生を全うするか、ということを考
> えることと同じだからです。
> その日が来るまで、世の中に必要な人で居続けられる方法を
> 考えることだからです。
> 考えれば考えるほど、生を大切にします。時間を無駄にした
> くないと考えます。
>
> 読めないと思うので、広告で樹木希林さんが述べておられる
> ことを書いておきます。
> 「死ぬ時ぐらい好きにさせてよ」
> 人は必ず死ぬというのに。
> 長生きをかなえる技術ばかり進化して何ともまあ死ににくい
> 時代になったことでしょう。
> 死を疎むことなく、死を焦ることもなく。
> ひとつひとつの欲を手放して、身じまいをしていきたいと思
> うのです。
> 人は死ねば宇宙の塵芥。せめて美しく輝く塵になりたい。
> それが私の最後の欲なのです。
>
> 樹木希林さん本当に美しい…そして美しい宇宙の塵になられ
> た…
> 布団に入って目をつむる前、ここのところ僕は、このちびま
> る子ちゃんを読んでじんわりした気持ちに浸っています。
>
> ちびまる子ちゃん
> さくらももこ:著 りぼんマスコットコミックス 集英社
>
> このメールは、係長さん以下の役職者の方にお送りしていま
> す。