みなさんへ No.15 −仕事のことを本気で考えてきました− 2017.10.02

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> 9月12日の火曜日7時3分ののぞみに乗って、僕は東京へ
> 向かった。
> 家を出たときには結構強めの雨が降っていて、僕はキャリー
> バッグに大きめのナイロン袋をかぶせて家を出た。
> 東京も小雨模様だった。
> 東京駅について、八重洲南口にほど近いバスターミナルに向
> かい、待っていたバスに乗って千葉県の九十九里浜のすぐ近
> くの宿舎に連れて行かれた。
> 宿舎についたとき雨は上がっていた。
> 本当にすぐ目の前がビーチだ。3階の部屋に荷物を置きに入
> った時、窓からビーチが見えた。
> その日から16日の土曜日まで、僕は8時間ほどしか眠らず
> に、仕事とは何か、仕事をしていくうえで絶対に欠かすこと
> のできない一緒に仕事をする仲間たちのことを考えさせられ
> た。
>
> 具体的なことは書けないけれど、いきなり暗号のようなもの
> を渡され、その暗号を解読せよ!というミッションを与えら
> れるのだ。
> その暗号を解くカギは「道」にあること。分かっていること
> はそれだけ。
> 僕には8人の仲間がいて、その仲間たちと協力してその暗号
> を解読するのだけど、ひとたび「道」に出たらだれとも相談
> してはいけない。
> 自分で「道」を調べ、仮説を立てて宿舎に戻り、仲間たちと
> その仮説を検証し、さらに仮説を立てていく…この繰り返し
> で暗号を解読していくのだ。
> そして、大切なのは、このミッションはゲームでもオリエン
> テーリングでもなく、仕事だということ。
> だからきっちりスケジュールを決めさせられる。
> 今やっていることも明確化される。解明するために必要な道
> 具(マジックや、紙、暗号のコピー代など)も仮想のお金で買
> わなければならない。
> 決めたことをやらなかったり、手を抜いたり、約束を破った
> りすると、周りで僕たちの監視をしたり、たまにヒントをく
> れるリーダーと呼ばれる人たちから罵声が飛ぶ。
>
> 12日の夜というか、13日の朝に1時間眠り、14日の朝
> に2時間眠り、14日の夜は、「寝ろ」というミッションが
> 与えられて、5時間ほど寝た。それから16日の9時にバス
> で東京駅に向かうまで一睡もしなかった。
> 僕たちは、12日から14日まで「道」と宿舎を何往復もし
> ながら、暗号を解明するため毎日20キロから30キロ歩い
> た。夜中の2時ごろまで。
>
> 仕事をするということは、「誰か」のために「何か」を使っ
> てその「誰か」をいかに幸せにするかということだ。
> ということは、当たり前だけど、「誰か」と「何か」(この
> 2つを対象と呼ぶ)を知り尽くしていなければ、「誰か」を
> 幸せにすること(幸せにすることを対応と呼ぶ)などできな
> い。
> そう、「対象」を知らなければ、対象に「対応」すること
> などできないのだ。
> 僕らは、5日間ほとんど寝ずに、「対象」を理解することの
> むつかしさを学んだ。
> 更に「対象」のほとんどを理解しても、それに対応するこ
> とのむつかしさを学んだ。
> 最初、ちんぷんかんぷんで、何をしたらいいのかさえ分から
> なかったのに、タイムリミットの14日のお昼過ぎになると、
> 暗号のほとんどは解明できた。
> 9人のチームが一致団結することで暗号が少しずつ分かって
> くる。そしてその分かってくる速度が加速し始める。そうな
> ると、勝手に「寝てる暇なんかない」と思えてくるから不思
> 議だ。
> ということで、真剣に仕事に向き合うことの楽しさも学んだ。
>
> 僕は、晴れ男のはずなんだけど、16日の3時過ぎに神戸に
> 帰ってきたら、また結構強めの雨。なんだかなぁ…
> まぁ、千葉にいる間は雨に合わなかったし、「道」を歩いて
> いるときに、とってもきれいな夕焼けも見えたので、よしと
> します。
> 今回の研修で学んだ大きなテーマの一つは、一緒に仕事をす
> る仲間に、いかに仕事の楽しさを教えるか、ということだっ
> たんだけど、その過程で「ロボット」という言葉が、たびた
> び登場しました。
> その「ロボット」という言葉を聞くたびに、懐かしく思い出
> していた本が、この「気まぐれロボット」です。星新一著。
> 僕はこの本を中学校の時に初めて買って、無くしたり人にあ
> げたりで3回くらい買いなおして、さらに無くして今手元に
> なくて、たまたま神戸の元町の古書店で当時と同じ装飾の本
> を見つけたので買い求めました。初版本でした。ラッキー!
>
> 星新一の書くショートショートストーリーは、時にほわっと
> した気持ちになり、時に中途半端なホラーより恐ろしい気持
> ちになり(子供のころ夜眠れなくなったことがあります)、時
> に本当に嬉しい気持ちになります。
> 僕は星新一の本をたくさん持っているのですが、初めて買っ
> たこの「気まぐれロボット」が一番好きです。
>
> 気まぐれロボット 星新一著 角川文庫
>
> このメールは、係長さん以下の役職者の方にお送りしていま
> す。