みなさんへ No.35 −植物のひたむきさに癒される− 2019.05.31

f:id:fujimako0629:20190531094200j:plain

f:id:fujimako0629:20190531094400j:plain

f:id:fujimako0629:20190531094500j:plain

f:id:fujimako0629:20190810154925j:plain

> 新緑の季節から、濃い緑に替わっていくのが五月です。
> 今の時期は二十四節気小満に当たり、梅雨入り前の、初夏
> を感じられるとてもすがすがしい時季のはずなのに、北海道
> で40度近くになったとのニュースがあるなど、最近の日本の
> 気候は本当に変ですね。
>
> そんな中僕は、毎日朝起きたときと、夜家に帰ったとき植物
> に水をあげます。玄関先周りと裏庭に。
> 玄関先の小さな花壇にはプラムの木を植えています。随分と
> 大きくなり、お隣のご迷惑になりそうだったので、ちょうど
> 1年前にバッサリ枝を落としました。
> 毎年桜の少し前に、可憐な白い花をたくさんつけてくれてい
> たプラム、枝をバッサリ落とした後の今年の花は正直あきら
> めていたのですが、ちゃんと咲いてくれました。
> 花は、ある程度年数の経った成熟した枝につくのだと、うち
> のプラムの木で勉強しました。
> 花のついていない枝は、バッサリ枝を落とした後に生えてき
> た若い枝だったからです。
> そのプラムの周りには、ワイヤープランツが地面を隠すよう
> に生え広がっています。それ以外にも多肉植物の鉢が2つ置
> いてあり、いつの間にか生えていたヒメツルソバもガレージ
> のコンクリートの隙間でがんばっているので、その子にも水
> をやります。
>
> 玄関を入って、僕の部屋の向こうの家の裏に小さな本当に小
> さな庭があります。
> 庭というより、綺麗な四角い区画の土地ではなかったので、
> 向かいの建物との隙間というほうが正しいくらいの小さなス
> ペース。
> 庭(いや、隙間(笑))の端っこに水道の蛇口があり、そこにつ
> けているホースから、ジャーと水を飛ばせばあっという間に
> 庭の端っこまで届くので、たっぷり隅々まで水をやります。
>
> 今の家に引っ越してきたのが2002年、引っ越してきた当時、
> 僕は全く植物に興味がなく、近所に住む義母が植えてくれた
> 植物が玄関先の小さな花壇にあるだけでした。
> 当時、僕以外の家族も植物に興味がなかったため、その植物
> は、かわいそうにいつの間にかなくなっていました。
> 裏の小さな庭にも、引っ越した当初、ホームセンターで四角
> い芝生を4枚買ってきて隅っこに引いただけ。当時の僕は、
> 芝生を引けば、それだけでお金持ちのおうちの庭のようにな
> ると思っていたんです。芝生も結局、4枚買っただけでやめ
> てしまいましたが。
> しかしその芝生、見る見るうちに増えていき、予想に反し数
> 年後庭全体を覆うくらいになりました。せっかく増えても、
> 芝を刈るということをしなかったので、細長い葉っぱが15
> センチほど伸びた単なる草ぼうぼう状態でした。
>
> 僕が庭に初めて木を植えたのはモミジの木で、確か2006年
> ごろのことです。
> 10センチくらいの苗木3本セットみたいな形で売られていた
> のを買ってきて、庭の片隅に植えました。
> その後、2010年くらいからでしょうか、植物に興味を持ち始
> めたのは。
> モミジの横にソメイヨシノを植えました。そしてハーブ。ミ
> ントを中心に4種類くらい植えました。ブルーベリーやユー
> カリ、シマトネリコも。
> 伸び放題だった芝生も、定期的に刈るようになり、今はゴル
> フ場のラフのような感じで生えています。
> そんな中、身近な野草にも興味を持つようになり、本を買っ
> て見比べながら、この黄色い花はカタバミ、この小さい花は
> キュウリ草、このピンクの花はユウゲショウ…花をつけた小
> さな野草にも目を配るようにしています。
> 鳥が運んできたと思われる木も生えてきていて、あえて抜か
> ずに成長を見守っています。
>
> モミジの木はずいぶん大きくなりました。ソメイヨシノが花
> をつけるようになって3回目の春が過ぎました。
> 美味しい収穫もあります。去年くらいから、ブルーベリーの
> 実がたくさんとれるようになり、ブルーベリー酒を作りまし
> た。ハーブも6種類ほど、自生できるくらいしっかり根を張
> ってくれているので、ローズマリーやミント、タイムなどを
> お茶にして飲んだり、料理に使ったりしています。
>
> 僕は、田舎育ちなので、緑に囲まれ、いや緑に埋もれるよう
> に、さらにその緑が育む様々な虫たちと一緒に育ったため、
> 計算され、綺麗に整理整頓された庭よりも、実家の前を流れ
> る川に行く坂道のような雰囲気が落ち着きます。
> ただ、何の知識もなく、思い描くイメージだけで植物を植え
> てきたので、「この植物は、こういう環境を好む」等という
> 植物の特性について勉強してきませんでした。だからうまく
> いかないこともたくさんあり、かわいそうなことを何度も繰
> り返してきたので、これからはできるだけ、植物に寄り添い
> たいと思い、少しずつ勉強しています。
>
> いろんなことで僕らは行き詰ります。うまくいかないことの
> 方が断然多い。
> でも、その落ち込んだ気分からはできるだけ早く抜け出さな
> ければなりません。どっぷり浸かりすぎると、自力で前を向
> くことがとても難しくなるからです。
> そういう時に緑はやさしいです。植物はとてもやさしい。そ
> ういう存在だからこそ、大切にしなきゃと思っています。
> 去年の梅雨の時期に活けていたあじさいが発根し、植え直す
> と元気よく育って、今年はちゃんと地面に根をはり、もうじ
> き花を咲かせてくれます。そういうひたむきさ、なんか嬉し
> いじゃないですか。
>
> 今の僕の身近な癒しは植物です。みなさんの身近な癒しは何
> ですか?
>
> 草手帳 かわしまよう子:著
> ポプラ社
>
> このメールは、係長さん以下の役職者の方にお送りしていま
> す。