みなさんへ No.1 2016.10.17

f:id:fujimako0629:20190810111453j:plain


皆さんへ

このメールは、係長さん以下の役職者の方々にお送りしています。

このメールは、お仕事に関連したものではありません。

このメールのメインの部分は、私がいいなぁと思った本のご紹介です。

私はここ数年、意識して、努力して本を読んできました。
もともと読書は好きで、常に本を1冊2冊カバンに忍ばせています。
意識して、努力して行い始めた読書以前の私にとっての読書とは、主
に自分の殻に閉じこもって現実逃避をするための読書でした。
読書をすることで一時的に現実を忘れ、気持ちを新たに現実に戻ると
いうことは、決して悪いことではないと思います。
読書による現実逃避があるから、現実に戻ったときにまた頑張ること
ができるのなら、とても大切な時間ですよね。

しかし、2010年の8月から私は、現実逃避できる、自分が心地よ
くなる本を読むことを自分に禁じました。具体的には、小説を読むこ
とを禁じたのです。
そして、そうした上で、本を読むという行為を加速させる努力をしま
した。
当時の私は現実逃避をしてはいけない、勇気をもって一歩前に踏み出
さ負ければならないときだったからです。

私は大学を出ていません。
学歴に対するコンプレックスを常に持ちながら生きてきました、とい
うか、今でもそうです。
また当時、会社の中での私の位置づけというものに対しても、強い危
機感を感じていました。
私には家族があり、家族を養って行くために必要なお金を稼ぐという
重要な責務があります。
その引け目や危機感からこれ以上目をそらしていれば、私の重要な責
務を全うできない…

やっとおしりに火が付いたんですね。

そんな私が、一家の大黒柱としての責務を全うするためには、だれに
も負けない専門的な知識の取得と幅広い一般的な知識の取得、この両
方が必要だ、と当時の私は思ったんです。

2010年の8月から2014年の12月までの4年と5ヶ月の間、
私は平均して年間で90冊の本を読みました。
2015年の1月からは当時たてた約束事を若干緩め(時々小説も読む
ようになりました)、また読書量も減りましたが、年間50〜60冊程
度の本は読んでいます。そして、読んだ本すべての「読書ノート」を
付けています。そのノートは、10冊を超えました。
この6年間で読んだ様々なジャンルの本、500冊近く。この本たち
との出会いは、私にとって大切な財産であり、心からの宝物です。

その10冊のノートをもう一度開いて、皆さんにお勧めしたい本を月
に2回程度ご紹介できたら、そして、その時々に私の身に訪れたうれ
しかったことや日常のささやかな気付きのようなものも合わせてお話
しできたらな、と思っています。

まず第1回目にご紹介する本は、糸井重里さんの

「ボールのようなことば。」「ふたつめのボールのようなことば。」

です。

ほぼ日刊イトイ新聞」はご存知ですか?糸井さんが運営する、
1998年からほぼ毎日更新されているウエブサイトです。
大好きなサイトで、毎日のお昼休みに食事をとりながら、スマホでそ
のサイトを開いて、「今日のダーリン」(糸井さんが毎日書くエッセイ
のようなもの)を読むのが日課になっています。
この2冊の本は、その「ほぼ日刊イトイ新聞」で糸井さんが書いた原
稿の中から心に残る言葉を厳選してまとめたものです。

去年のちょうど今頃(もう1年も経ったんだ)、僕は仕事のことや家
庭のことや本当にいろいろなことで悩んでいて、前が見えなくなって
いました。それなりに強く落ち込んでいました。

そんなときに、細々とやってたSNSで知り合った方にもらった言
葉がご紹介する「ふたつめのボールのようなことば。」に収められて
いる言葉でした。
この言葉で、僕は救われたんです。

〜整理しきれない思いや考えは、未来のじぶんの素になる。〜

考えても考えても、出ない答えってあります。

だから、考えることが苦しくて、逃げ出したくなるんだけど、苦し
みからどんなに逃げても、苦しみは絶対に追いかけてくるし、逃げ
た分だけ、苦しみは大きくなってついてくるんです。
これって本当です。

それを知っていたから(実はこのことも別の本から気づかせてもら
いました)、逃げずにはいられたけど、本当に苦しかった。

そんなときにこの言葉をもらいました。

「答えが出なくてもいいんだよ。答えが出ないことに今自分は直面
しているとわかっていれば、その苦しみが未来の自分を作ってくれ
るから」

そう言ってもらえたように思ったんです。

最後にもう一つ、僕が心に刻んでいる、この本たちがくれた言葉が
あります。

〜いまがっくりすることは、過去にやったことのせい。
いまよろこんでいるのは、過去にやったことのおかげ。〜

僕の、次から次へとやってくる「いま」は、うれしい「いま」より
苦しかったり腹立たしかったりする「いま」のほうが多いけれど、
だからこそ「いま」大切にしなきゃ。
将来の「いま」に苦しかったり腹立たしかったりする「いま」がち
ょっとでも減るように。

この本たちに出合えて、本当によかったです。


「ボールのようなことば。」「ふたつめのボールのようなことば。」
糸井重里著 ほぼ日文庫

こんなメールをまたお送りします。よかったら読んでみてくださ
い。